
こんにちは。JPROS関西支部長の石元です。
本記事では、JPROSが大切にしている「気づき」をテーマに、メンバーへのインタビューを前編・後編の2回に分けてお届けします。
本題に先立ち、理事の野崎にJPROS設立の経緯を聞きました。
そのうえで、野崎をはじめ、生産技術の改善に長年携わってきた福井、研究開発の技術者として歩んできた久保田の3名に、JPROSがなぜ「気づき」を重視しているのか、それぞれの視点から語ってもらいました。
前編には野崎と福井、後編には久保田が登場します。
JPROSがどのような思いを持って活動しているのか、その一端でもお伝えできれば幸いです。まずは設立の経緯からお届けします。
目次
野崎 修 インタビュー
福井 幸弘 インタビュー

JPROS設立の経緯
――野崎さん、あらためてJPROSを立ち上げた経緯を教えてください。
野崎:はい。簡単に言うと「物売り」――つまり「製品を売って、それを納品するだけ」では解決しない問題が近年増えていると感じたからです。
少し前までは「新しい機械を買えば早く生産できる」というように、物さえ買えば課題を解決できることも多かったんですよね。
でも今は情報がたくさんありますし、そのうえ企業が抱える課題も複雑化しています。物を買う以前に、「そもそも何が本当の課題なのか」が見えにくくなっているんです。
――たしかに。課題がはっきりしないまま何かを導入しても、根本的な解決にはならなそうです。
野崎:そうなんです。だから何かを売るためではなく、まずはフラットにお客様の立場や状況を理解し、本当の課題を一緒に見つけていく。
そういうサポートができる組織が必要なんじゃないかと思ってJPROSを立ち上げました。
「JPROS」の由来
――JPROSという名前の由来を教えてください。
野崎:「JOB」の頭文字「J」と、「プロ集団」を意味する「PROS」を組み合わせて「JPROS」としました。「仕事のプロ集団」、つまり「仕事で結果を残す人たち」という意味です。
お客様が抱えている課題の要因は、一つではないことがほとんどです。そのため、解決には総合的かつ専門的なサポートが必要になります。JPROSは、そこに対応できる専門家集団です。
ただ専門家として答えを示すだけではなく、お客様自身の「気づき」を大切にしながら寄り添い、伴走していく。そうしてともに成長していける組織でありたいと思っています。
JPROSが大切にしている「気づき」とは
――「気づき」を大切にしながら、というお話がありましたが、野崎さんは「気づき」をどのように捉えているのでしょうか?
野崎:私は「気づき」は学びから生まれるものだと思っています。
学んだことが、ただ知っているだけの情報から「自分で使えるもの」に変わったときに、新しい気づきやその先の予測につながっていくのかなと。
その「学びが気づきに変わっていくところ」に、JPROSとして伴走できればと思っています。
――学びを届けて終わりではなく、それが気づきに変わるところまで一緒に進む。それが、JPROSの考える「ともに成長する」ということなんですね。
野崎:おっしゃるとおりです。
――野崎さん、ありがとうございました。
ここからは、生産技術の改善に長年携わってきた福井さんに、なぜ「気づき」を重視しているのか、話を聞いていきます。

経験を次の世代の「気づき」に
――企業支援プロジェクトリーダーの福井さんです。福井さん、自己紹介をお願いできますか?
福井:私は精密機械を作る会社に40数年勤めておりました。そこでは主に生産技術の改善を担当していました。
開発担当者が設計したものを、仕組みづくりや自動化によって「よりよく作る」仕事ですね。
最終的には経営にも携わるようになり、国内外の数社に関わりました。
ただ振り返ってみると、技術や経営の仕事だけではなく、積み重ねてきた経験をもとに「ものづくりの面白さ」を伝え、人を育てることも私の大切な仕事だったなと思います。
――ものづくりと一緒に、人も育ててきたんですね。人を育てるうえで、心がけてきたことはありますか?
福井:一人ひとりにきちんと向き合って育てることですね。昔のやり方のままでは、今の時代、通用しないと感じています。
今は生成AIに聞けば、すぐに答えが出てくる時代です。だからこそ、教わる側だけでなく、教える側も考え方を変えなければいけない。
製造業に長年携わってきて、それが最後に見えてきた答えです。
――長く現場を見てきて、生成AIの登場という大きな変化も経験したからこそ見えてきた答えですね。
活動の原点は、訓練校での「気づき」
――福井さんは今、ご自身で会社を立ち上げ、JPROSでは企業支援プロジェクトのリーダーも務めています。こうした活動を始めたのには、何かきっかけがあったんですか?
福井:勤めていた会社には職業訓練校があったのですが、退職前の2年ほど、そこの理事長を務めていたんです。
そのときに、ふと「自分がやってきたことを振り返ってみよう」と思いまして。
その内容を訓練校に来ていた製造業の方々に話してみたら、「もっと話を聞きたい」と言っていただいて。時には夜遅くまで話し込んだこともありました。とても楽しい思い出です。
――同じ製造業に携わる方々だからこそ、自分ごととして受け止められたんでしょうね。
福井:ええ。話を聞いた方々が、自分の仕事に置き換えて何かに気づいてくれる。その姿を見て「自分がやってきたことは、社会でも活かせるんだ」と感じたんです。
長年ものづくりに携わってきましたが、現役の最後の最後に気づかされたのが、人が育つうえで一番大事なのは「気づき」なんだということです。
それからは「『気づき』の場をいろいろな形でつくっていきたい」と考えるようになったんです。
JPROSは「気づき」を大切にしている組織なので、ここなら社会貢献ができると思い参画しました。
私は現場から経営まで経験してきましたので、立場を問わず、幅広くご相談にお応えできるのではないかと思っています。
――長いキャリアの中では、成功も失敗も、たくさん経験してきたと思います。相談者にどんなことをお伝えしているのですか?
福井:実は、お話しするのは成功事例よりも失敗事例のほうが多いんです。
失敗の話のほうが聞いた方にとって身近に感じられて、面白い気づきにつながるんですよね。「この人もこんな失敗をしているなら、私にもできるかも」と思ってもらえる。
そうやって気づきを得て、自分から動き出せるようになってもらえたら、と思って活動しています。
――失敗も含めて、経験そのものが誰かの気づきになるんですね。答えを渡すのではなく、相手が一歩を踏み出すきっかけをつくる。まさに今の時代に求められる教え方だと感じます。
教育は「ティーチング」から「コーチング」へ
――先ほど「教える側も考え方を変えなければいけない」というお話がありました。昔と今とで、教え方はどう変わってきているのでしょうか?
福井:今の時代は「ティーチング」ではなくて「コーチング」と言って、相手に気づかせながら導いていく教育が求められています。そこが一番大きな違いですね。
昔は「先輩の背中を見て盗め」と言われたように、「師匠と弟子」の関係が基本でした。師匠のやり方を弟子がそのまま受け取る。いわば一方通行の「ティーチング」の関係ですね。
弟子は師匠のやり方をなぞって覚えるので、師匠を超えるには、よほどの技量がないといけない。そうすると、技術の伝承はだんだん細くなっていきますよね。
――たしかに、それだと技術のレベルは少しずつ下がっていってしまいますね。
福井:もちろん、その中でも師匠を超える人が生まれてきたからこそ日本の技術力は保たれてきたんですが。
でも今は、教わる側の技量や目の前の目標を的確に示して、話し合いながら導いていく。そういう関わり方が大切だと感じています。
たとえばスポーツの世界でも、コーチングを受けるために海外へ行く選手がいますよね。
――分野を問わず、教える側の関わり方が変わってきているんですね。
私もSNSの講師として授業をする機会があるのですが、どう関われば受講生自身が「気づき」を得られるのか、いつも試行錯誤しています。
最近は、たとえばSNSで「発信する内容」と「発信しない内容」を考えるテーマなら、結果だけでなく「どう考えてその判断に至ったのか」を、自分の言葉で振り返ってもらうようにしています。
最初に「なぜ」を見極める
――製造業の現場でも、「気づき」を促す教育は大事になっているのでしょうか?
福井:そうですね。ただ、「気づき」を促すためには、まず「なぜできなかったのか」を見極めることが大事なんですよね。
製造の現場では、その原因を大きく三つに分けて考えます。
――どのように分類されるのでしょうか?
福井:たとえば品質不良の製品を作ってしまった場合、原因は「①知らなかった」「②技術的に未熟でできなかった」「③知っていたけどやらなかった」の三つです。
「①知らなかった」なら知識教育、「②技術的に未熟でできなかった」なら技能教育、そして「③知っていたけどやらなかった」なら態度教育が必要になります。
まず原因を見極めて、この三つに振り分けたうえで、その人に合ったコーチングをしていくんです。
――原因によって、かけるべき言葉も変わってくるんですね。
福井:おっしゃるとおりです。「①知らなかった」人と「③知っていたけどやらなかった」人とでは、同じ言葉をかけても響き方が違います。
だからこそ、一人ひとりに合った言葉をかけられるかどうかが大事になってきます。
――相手に合った言葉だと、「あの一言があったから、こうしてみよう」というような、行動のきっかけにもなるんですね。
「響く言葉」は体験から生まれる
――同じ言葉でも「誰が言うか」で受け取られ方は変わりますよね。
福井:そうですね。響く言葉には「その人がどんな体験を積み重ねてきたか」がにじみ出ると思います。
――体験というのは?
福井:私自身、現場から経営まで、それぞれの立場を体験してきました。
その中で実感したのは、現場には現場の、そして経営者には経営者の悩みがあるということです。
悩みが違えば響く言葉も違ってきます。どの悩みも自分で通ってきたからこそ、相手が現場の方でも経営者の方でも、言葉の温度感が合うんだと思います。
――現場から経営まで、幅広く体験を積み重ねてきた福井さんだから、一人ひとりに響く言葉が生まれる。そしてその言葉が、本人の気づきにつながっていくんですね。
福井さん、ありがとうございました。
前編のおわりに
前編では、理事の野崎と企業支援プロジェクトリーダーの福井に話を聞きました。
野崎が語ったのは、お客様と一緒に本当の課題を見つけ、「気づき」まで伴走したいという思いです。
そして福井が語ったのは、40数年のキャリアの最後にたどり着いた、「人が育つうえで一番大事なのは『気づき』だ」という実感でした。その実感が「気づき」を大切にするJPROSでの活動の原点になっています。
後編では、研究開発の技術者として43年間歩み、68件の特許を出願してきた久保田に話を聞きます。
常識を塗り替えた発見は、どんな「小さな気づき」から始まったのか。そしてAIの時代に、「気づく力」をどう育てていけばいいのか。
ぜひ後編もあわせてご覧ください。
